背理法とは?例で解説&証明の書き方もよくわかる!

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高校数学の数学1で登場する背理法は大学入試で頻出の分野の1つです。

しかし、背理法はかなり独特な証明方法なのでしっかりとやり方・書き方を理解しておく必要があります。

そこで今回は、早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者が背理法とは何かについて解説した後、背理法の例題や証明の書き方、対偶との関係などについても解説していきます。

本記事を読めば数学が苦手な高校生でも背理法が理解できるでしょう。ぜひ最後までお読みください。

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背理法とは?例で解説

まずは背理法とは何かについて解説します。

背理法とはある命題を証明するために、その命題が成り立たないと仮定すると矛盾が発生することを示し、それによって命題が成り立つと結論付ける証明方法のことです。

※命題が何かわからない人は、命題とは何かについて解説した記事をご覧ください。

わかりにくいと思うので、例を使って解説します。

例えば、命題「xが有理数、yが無理数のとき、x+yは無理数である」を背理法を使って証明してみます。

背理法による証明の手順は以下の3つとなるので、必ず覚えておきましょう。

手順1:命題が成り立たないと仮定する

まずは与えられた命題が成り立たないと仮定するところから背理法はスタートします。

「xが有理数、yが無理数のとき、x+yは無理数である」が成り立たないとしましょう。

つまり、「xが有理数、yが無理数のとき、x+yは有理数である」と仮定します。

※有理数・無理数がわからない人は、有理数とは何かについて解説した記事をご覧ください。

手順2:矛盾を導く

手順1で立てた仮定に対して矛盾が生じることを示します。

x+yが有理数であると仮定した場合、y=(x+y)-xであり、(x+y)とxはともに有理数であるから、yも有理数となります。

※有理数-有理数=有理数であることは明らかなので、証明なしに使って問題ありません。

しかし、yが有理数である事は命題の「yが無理数」ということに矛盾します。

手順3:もとの命題は正しいと結論付ける

手順2で矛盾が生じるということは、手順1で立てた仮定に矛盾の原因があるということです。

よって、もとの命題は正しい(=真である)と結論付けることが可能になります。

以上が背理法の手順となります。この3ステップは必ず覚えておきましょう。

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背理法の証明の書き方

背理法の例題を1つご紹介します。試験でも使える証明の書き方をしているので、ぜひ参考にしてください。

【例題】

√7が無理数であることを使って、√5+√7が無理数となることを証明しなさい。

【解答&解説】

(証明)

√5+√7が無理数でないと仮定する。

このとき、√5+√7は有理数となるから、rを有理数として√5+√7=rとおくと、√5=r-√7となる。

両辺を2乗すると、5=r2-2√7+7より、√7=(r2+2)/2rとなる。

r2+2、2rは有理数なので、√7も有理数となる。

しかし、√7は明らかに無理数であるため、矛盾が生じる。

したがって、√5+√7は無理数となる。

(証明終)

※2乗の計算方法がわからなかった人は、多項式の計算について解説した記事をご覧ください。

いかがでしたでしょうか?背理法の証明の書き方が掴めたでしょうか?

背理法では上記でご紹介した手順1〜3をしっかりと意識して証明を書くことが重要となります。

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背理法と対偶の関係

対偶とは何かについて解説した記事で対偶を利用した証明問題をご紹介しています。

対偶を利用した証明と背理法を利用した証明は一見似ているように思えますが、数学的には異なるものとみなされます。

命題p⇒qがあったとき、背理法では「pであってqでない」という仮定を立てて矛盾を導きますが、導く矛盾は「qでない」に対する矛盾でも「pである」に対する矛盾でもどちらでも問題ありません。

※「pでない」に対する矛盾を導いた場合、「qp」つまり対偶が真であることを証明したことになります。

まとめると、背理法による証明は、証明を始める段階でpが矛盾するのかqが矛盾するのかわからないという点で対偶を利用した証明とは異なります。

ちなみに、対偶を利用した証明と背理法を合わせて間接証明法と言います。

間接証明法で命題を証明すべきかどうかの見極めですが、結論が以下のようになっている場合は間接証明法が有効である可能性が高いです。

  • 「〇〇または××」「少なくとも1つは〇〇」「〇〇かつ××」
  • 「〇〇ではない」「〇≠×」「〇〇である」

背理法・対偶を利用した証明問題を解くコツの1つとしてぜひ覚えておきましょう。

背理法の練習問題

最後に背理法の練習問題をご紹介します。

証明の書き方も試験で使えるような仕様にしていますので、ぜひ参考にしてください。

【練習問題】

(1)√7が無理数であることを証明せよ。ただし、nが自然数のとき、n2は7の倍数ならばnは7の倍数であることは証明なしに使ってもよい。

(2)√6が無理数であることを用いて、√2+√3が無理数であることを証明せよ。

(3)√3が無理数であることを用いて、x+y√3=0⇒x=y=0を証明せよ。

【解答&解説】

(1)√7が有理数であると仮定する。すると、√7=a/bと表すことができる(aとbは互いに素とする)

よって、a=√7bより、a2=7b2・・・①となる。

a2は7の倍数であるから、aも7の倍数となる。

ここで、a=7c(cは自然数)とおく。これを①に代入すると、

(7c)2=7b2より、b2=7c2となる。

よって、b2は7の倍数であることから、bも7の倍数となる。

ゆえに、aとbは公約数7を持つことになる。これはaとbは互いに素であるということに矛盾する。

よって、√7は無理数となる。

(証明終)

(2)√2+√3が有理数であると仮定する。

その有理数をrとすると、r=√2+√3より、r2=(√2+√3)2=5+2√6となるので、

√6=(r2-5)/2となる。

rが有理数ならば(r2-5)/2は有理数となるため、√6も有理数となる。

これは√6が無理数であることに矛盾する。よって、√2+√3は無理数となる。

(証明終)

(3)y≠0と仮定する。

このとき、x+y√3=0を変形すると、√3=-x/yとなる。

x、yが有理数ならば-x/yも有理数であるから、√3が無理数であることに矛盾する。

よって、y=0となる。

x+y√3=0にy=0を代入するとx=0となるので、与えられた命題が成り立つ。

(証明終)

いかがでしたでしょうか?

今回は背理法とは何か・背理法の手順について解説した後、背理法の証明の書き方や対偶の関係についても解説しました。

繰り返しにはなりますが、背理法は大学入試で頻出なので入念に勉強・対策をしておきましょう。

本記事の執筆者
アツシ

早稲田大学教育学部数学科を卒業しており、数学に関して深い知見があります。大学生時代は家庭教師や塾講師のアルバイトで高校生に数学を教えていたため、数学をわかりやすく解説することには自信があります。

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