高校数学の数学1における「データの分析」では5数要約という用語が登場します。
5数要約はデータの散らばり具合を知るために求めることが多いです。
本記事では早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者が5数要約とは何かについて解説した後、5数要約の求め方や使い方について例題で解説していきます。
数学やデータの分析が苦手ない人でも理解できるように解説していくので、ぜひ参考にしてください。
5数要約とは?
データを分析するときは代表値(平均値・中央値・最頻値)だけでなく、データの散らばり具合を知ることも重要です。
※度数分布表の最頻値の求め方について解説した記事もぜひ合わせてご覧ください。
データの散らばり具合を知る最も簡単な方法が5数要約を求めることです。
5数要約は「ごすうようやく」と読み、以下5つの値のことです。
- 最小値
- 第1四分位数
- 第2四分位数
- 第3四分位数
- 最大値
最小値はデータの中で最も小さい値のことで、最大値はデータの中で最も大きい値のことです。
また、四分位数とはデータを小さい方から並べて四等分する数値のことです。小さい方から第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数と呼び、
- 最小値と第1四分位数の間には小さい方からほぼ25%のデータが
- 第1四分位数と第2四分位数の間には、ほぼ25%のデータが
- 第2四分位数と第3四分位数の間には、さらにほぼ25%のデータが
- 第3四分位数と最大値の間には、大きい方からほぼ25%のデータが
含まれます(後ほど解説)
5数要約の求め方
では、度数分布表をもとに5数要約を実際に求めてみましょう。
※度数分布表がわからない人は度数分布表とは何かについて解説した記事をご覧ください。
今回はデータの個数(=度数)が奇数個のケースを取り扱いますが、データの個数が奇数個から偶数個かで第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数の求め方は変わります。
第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数の求め方については四分位数とは何かについて解説した記事をご覧ください。
【例題】
以下のデータについての5数要約を求めなさい。
ある学校で行われた試験の点数 | 度数 |
---|---|
34、85、45、69、93、77、73、68、53 | 9 |
【解答&解説】
まずは全データを小さい順に並べます。すると、
34、45、53、68、69、73、77、85、93
となりますね。
したがって、最小値=34、最大値=93・・・(答)となります。
第2四分位数=中央値のことなので、69・・・(答)となります。
※中央値が何かわからない人は度数分布表から中央値を求める方法について解説した記事をご覧ください。
第1四分位数は中央値を除いた左半分の中央値なので、(45+53)/2=49・・・(答)となります。
第3四分位数中央値を除いた右半分の中央値なので、(77+85)/2=81・・・(答)となります。
以上が5数要約の求め方となります。第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数の求め方をしっかり理解しておけば何の問題もなく求められるでしょう。
5数要約の使い方
ここからは5数要約からどんなことが読み取れるか?について例題で考えていきます。
【例題】
(1)A君が数学のテストを受けた結果、点数は68点だった。A君のクラスの数学の点数について、第2四分位数は60点であることがわかっている。このとき、以下の選択肢1〜4から正しいものを1つ選びなさい。
- A君は平均点よりも下である
- A君はクラスで真ん中よりも上の順位である
- A君はクラスで真ん中よりも下の順位である
- A君はクラスの上位25%に含まれる
(2)B君が数学のテストを受けた結果、点数は51点だった。点数があと6点高ければ、クラスの中のちょうど上位25%に位置していたことがわかっている。このとき、第3四分位数を求めなさい。
【解答&解説】
(1)第2四分位数=60点であるということは、中央値=60点ということですね。
つまり、クラスの真ん中の点数=60点ということです。A君の点数は68点なので、クラスの真ん中よりは上であることは確実に言えます。
よって答えは2の「A君はクラスで真ん中よりも上の順位である」となります。
【注意】
A君の点数が中央値よりも高いからといって、A君の点数がクラスの平均点よりも高いとは限りません。詳しくは度数分布表の平均値の求め方について解説した記事をご覧ください。
(2)クラスの中のちょうど上位25%の位置=第3四分位数ですね。
したがって、第3四分位数=51+6=57[点]・・・(答)となります。
いかがでしたでしょうか?
今回は5数要約とは何か・求め方や使い方について解説していきました。
5数要約は数学1の「データの分析」の基本用語の1つです。必ず理解しておきましょう。