数学Aの場合の数では重複順列という用語が登場します。
重複順列は大学入試や共通テストでは頻出ではないですが、内容としてはかなり基礎的な内容なので必ずできるようにしておきましょう。
本記事では早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者が重複順列とは何か・公式について解説した後、重複順列の解き方を練習問題を使いながら解説していきます。
重複順列とは?公式は?
まずは重複順列とは何か・重複順列の公式をご紹介していきます。
異なるn個のものから重複を許してr個を取り出して並べる順列の総数は、第1のもの、第2のもの、第3のもの・・・第nのものも、その選び方はすべてr通りで、nrです。
以上のような順列をn個からr個取る重複順列といいます。
※順列の意味がわからない人は順列とは何かについて解説した記事をご覧ください。
重複順列の公式nrは非常にシンプルなので、必ず覚えておきましょう。
重複順列ではr≦nと限りません。r>nでも問題ありません。
※記号「≦」や「>」の意味がわからない人は不等号の意味や読み方について解説した記事をご覧ください。
※重複順列と似た用語として重複組み合わせがあります。重複組み合わせではは並べる順序は考慮しません。詳しくは重複組み合わせHの公式と計算について解説した記事をご覧ください。
重複順列の例題
以上の重複順列の公式だけではイメージが掴めないと思うので、重複順列の例題を1つ解いてみましょう。
【例題】
1と2の数字の重複を許して3桁の整数を作る。このとき、3桁の整数は何個作ることができるか求めよ。
【解答&解説】
3桁の整数をABCとしてみましょう。
すると、Aには1 or 2のいずれかが入ります(2通り)
Bにも1 or 2のいずれかが入り(2通り)、Cにも1 or 2のいずれかが入り(2通り)ます。
よって答えは23=8[個]・・・(答)となります。
重複順列は積の法則の重複ありverみたいなものだと理解しておけば良いでしょう。
※積の法則とは何かについて解説した記事もぜひ合わせてご覧ください。
実際に辞書式配列法で検算をしてみます。
辞書式配列法で3桁の整数を書き出していくと以下のようになり、確かに8個であることが確認できます。
111、112、121、122、211、212、221、222
※辞書式配列法がわからない人は辞書式配列法とは何かについて解説した記事をご覧ください。
重複順列の練習問題
最後に重複順列の練習問題を用意しました。以下の問題以外にも参考書や問題集でたくさんの問題を解いて重複順列に慣れていきましょう。
【練習問題1】
以下の問いに答えよ。
(1)2、3、4を使ってできる5桁の奇数は何個あるか求めよ。ただし、同じ数字を重複して使っても良い。
(2)1から5までの番号が付いたロッカーがある。それぞれのロッカーに赤か白のカバンのうち、いずれか1個を入れて、どの色のカバンも必ずどれかのロッカーに入れるようにするとき、入れ方は全部で何通りあるか求めよ。
(3)0、1、2、3を重複を許して使ってできる4桁の整数は全部で(ア)個あり、3桁以下の整数は全部で(イ)個ある。(ア)と(イ)に当てはまる数を答えよ。
【解答&解説】
(1)奇数なので、一の位は3となります。
万、千、百、十の位の選び方は3個から4個取る重複順列なので34=81[個]・・・(答)となります。
(2)まず、それぞれのロッカーに赤か白のカバンのうち、いずれか1個を入れる入れ方は重複順列の公式より25=32[通り]ですね。
このうち、
- 全部のロッカーに赤のカバンを入れる
- 全部のロッカーに白のカバンを入れる
の2通りを除けば良いので、32-2=30[通り]・・・(答)となります。
(3)まずは(ア)から求めます。
千の位に使える数は1、2、3の3通りですね。
そのおのおのについて、百、十、一の位に使える数はそれぞれ0、1、2、3の4通りあります。
よって答えは3・4・4・4=192・・・(答)となります。
続いては(イ)を求めます。(ア)と同様に考えて、3桁の整数は全部で3・4・4=48[個]です。
2桁のものは3・4=12[個]です。1桁のものは3個です。
以上より、48+12+3=63[個]・・・(答)となります。
【練習問題2】
6枚のカード1、2、3、4、5、6がある。このとき、以下の問いに答えよ。
(1)6枚のカードをA組とB組に分ける方法は全部で何通りあるか求めよ。ただし、A組・B組それぞれに最低でも1枚は入るものとする。
(2)6枚のカードを2組に分ける方法は全部で何通りあるか求めよ。
(3)6枚のカードを区別不可能な3個の箱に入れるとき、カード1と2を別々の箱に入れる方法は全部で何通りあるか求めよ。ただし、空の箱はないものとする。
【解答&解説】
(1)6枚のカードをA・Bどちらかに入れる方法は重複順列の公式より26=64[通り]です。
このうち、
- 6枚のカードを全部Aに入れる
- 6枚のカードを全部Bに入れる
の2通りを引けばよいので、64-2=62[通り]・・・(答)となります。
(2)(1)でAとBの区別をなくせばよいので、6÷2=31[通り]・・・(答)となります。
(3)カード1、カード2が入る箱をそれぞれP、Qとします。そして、残りの箱をRとします。
P、Q、Rのどれかにカード3、4、5、6を入れる方法は重複順列の公式より、34通りですね。
このうち、Rには1枚も入れない方法は24通りです。
※Rが空となる入れ方はP、Qの2個から4個取る重複順列の総数です。
よって34-24=81-16=65[通り]・・・(答)となります。
いかがでしたか?
今回は重複順列とは何か・公式をご紹介した後、練習問題を使いながら重複順列の解き方を解説していきました。
重複順列は積の法則をしっかり理解していればそこまで難しくはありません。和の法則とセットで積の法則の学習をしっかりやっておきましょう。