今回は二次関数の決定を取り上げます。
二次関数の決定とは、どのような条件が揃えば二次関数の式を決定することができるか?について考えることです。
後ほど詳しく解説しますが、二次関数を決定するには大きく4つのパターンがあります。
そこで本記事では早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者が二次関数の決定の4パターンについて例題を使いながらわかりやすく解説します。
最後には二次関数の決定に関する練習問題も用意しているので、ぜひ最後までご覧ください。
二次関数の決定その1:3点がわかっている場合
y=ax2+bx+cという二次関数があったとき、その二次関数が通る3点がわかっていれば二次関数の式は必ず決定します。
例題をみてみましょう。
【例題】
(1、5)(2、13)(3、25)を通る二次関数を求めよ。
【解答&解説】
求める二次関数をy=ax2+bx+cとおきます。
すると、
- 5=a+b+c・・・①
- 13=4a+2b+c・・・②
- 25=9a+3b+c・・・③
という連立方程式が成り立つちます。
②-①より8=3a+b・・・④
③-②より12=5a+b・・・⑤
⑤-④より4=2aとなるのでa=2が求まります。
a=2を④に代入してb=2が求まります。
a=2とb=2を①に代入して、c=1となります。よって求める二次関数はy=2x2+2x+1・・・(答)となります。
3点を通る二次関数の求め方について詳しく解説した記事もご用意しているので、ぜひ参考にしてください。
二次関数の決定その2:頂点ともう1点がわかっている場合
y=ax2+bx+cという二次関数があったとき、その二次関数の頂点の座標とその二次関数が通る点の合計2点がわかっていれば二次関数の式は必ず決定します。
こちらも例題をみてみましょう。
【例題】
頂点が(1、3)で(4、21)を通る二次関数を求めよ。
【解答&解説】
頂点が(1、3)であることから、求める二次関数はy=a(x-1)2+3とおくことができます。
この二次関数が(4、21)を通るので21=a×32+3が成り立ちます。
これを解いてa=2が求まります。よって求める二次関数はy=2(x-1)2+3・・・(答)となります。
y=2(x-1)2+3を展開してy=2x2-4x+5としても問題ありませんが、y=2(x-1)2+3も綺麗な形なので、展開しなくても問題ありません。
※展開のやり方がわからない人は多項式の計算方法について解説した記事をご覧下さい。
こちらも非常に基本的な二次関数の決定方法なので、必ずできるようにしておきましょう。
二次関数の頂点について詳しく解説した記事もご用意しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
二次関数の決定その3:軸ともう2点がわかっている場合
軸とその他の2点がわかっている場合も二次関数は決定できます。
では、例題です。
【例題】
軸がx=-3で、(2、26)と(3、37)を通る二次関数を求めよ。
【解答&解説】
軸がx=-3ということは頂点のx座標が-3ということなので、求める二次関数はy=a(x+3)2+qとおくことができます。
これが(2、26)と(3、37)を通るので、
- 26=25a+q・・・①
- 37=36a+q・・・②
という連立方程式を立てることができます。
②-①より、11=11aとなるのでa=1となります。a=1を①に代入して、q=1となります。
よって求める二次関数はy=(x+3)2+1・・・(答)となります。
頂点の座標がわかっている場合はもう1点の情報があれば二次関数の決定はできますが、軸の場合は2点の情報が必要なのでご注意ください。
二次関数の決定その4:x軸との交点2つともう1点がわかっている場合
二次関数の決定その1で解説した3点を通る二次関数と大まかな内容は同じなのですが、x軸との交点2つともう1点の合計3点がわかっている場合、連立方程式とは違ったやり方で二次関数の決定が行えます。
【例題】
(-5、0)(8、0)(3、-80)を通る二次関数を求めよ。
【解答&解説】
(-5、0)と(8、0)はともにy=0なのでx軸との交点になっています。
(p、0)(q、0)を通る二次関数の式はy=a(x-p)(x-q)で表すことができます。
※x=pを代入するとy=0、x=qを代入するとy=0になることが確認できます。
したがって、今回求める二次関数はy=a(x+5)(x-8)とおくことができます。
この二次関数が(3、-80)を通るので、
-80=a(3+5)(3-8)=-40aより、a=2が求まります。
よって求める二次関数はy=2(x+5)(x-8)・・・(答)となります。
※展開してy=2x2-6x-80としても問題ありません。
以上は連立方程式を利用しても解くこともできますのでご安心ください。
求める二次関数をy=ax2+bx+cとおくと、
- 0=25a-5b+c
- 0=64a+8b+c
- -80=9a+3b+c
が成り立ち、これを解くとa=2、b=-6、c=-80が求まるので、しっかりy=2x2-6x-80となります。
二次関数の決定に関する練習問題
最後に二次関数の決定に関する練習問題を解きましょう。
丁寧な解答&解説も付けているので、ぜひチャレンジしてください。
【練習問題】
(1)点(-1、2)(1、-2)(2、-7)を通る二次関数を求めよ。
(2)頂点が(-1、-2)で(3、-50)を通る二次関数を求めよ。
(3)軸がx=5で(-1、73)と(0、51)を通る二次関数を求めよ。
(4)点(1、0)(2、0)(4、-30)を通る二次関数を求めよ。
【解答&解説】
(1)求める二次関数をy=ax2+bx+cとおきましょう。すると
- 2=a-b+c・・・①
- -2=a+b+c・・・②
- -7=4a+2b+c・・・③
という連立方程式が立てられるので、①-②より4=-2bとなるのでb=-2が求まります。
b=-2より、
②は0=a+c・・・④となります。
③は-3=4a+c・・・⑤となります。
④-⑤より3=-3aとなるのでa=-1が求まります。a=-1を④に代入してc=1が求まります。
したがって、求める二次関数はy=-x2-2x+1・・・(答)となります。
(2)頂点が(-1、-2)なので、求める二次関数はy=a(x+1)2-2とおけます。
これが(3、-50)を通るので-50=a×42-2よりa=-3となります。
よって求める二次関数はy=-3(x+1)2-2・・・(答)となります。
(3)軸がx=5より、求める二次関数はy=a(x-5)2+qとおけます。
この二次関数が(-1、73)と(0、51)を通るので、
- 73=36a+q・・・①
- 51=25a+q・・・②
という連立方程式が立てられます。①-②より22=11aとなるのでa=2となります。
a=2を①に代入してq=1となります。
よって求める二次関数はy=2(x-5)2+1・・・(答)となります。
(4)点(1、0)と(2、0)に注目すると、両方ともx軸の交点になっているので、求める二次関数はy=a(x-1)(x-2)とおくことができます。
これが(4、-30)を通るので、-30=a×3×2よりa=-5が求まります。
よって、求める二次関数はy=-5(x-1)(x-2)=-5x2+15x-10・・・(答)となります。
いかがでしたか?
今回は二次関数の決定の4パターンについて解説していきました。すべて高校数学の基本かつ重要な求め方なので、必ず理解しておきましょう。