中学数学で多くの人がつまずきやすい分野の1つが一次方程式です。
一次方程式は中学数学だけでなく高校数学でも必ず登場する数学の基本的な分野となっているので、必ず理解しておく必要があります。
今回は早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者が一次方程式とは何かについて解説した後、一次方程式の解き方について例題でわかりやすく解説していきます。
また、一次方程式に分数が含まれる場合や一次方程式を利用した文章問題もご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
一次方程式とは?わかりやすく例題で解説
まずは一次方程式とは何かについてわかりやすく解説します。
一次方程式とは文字(aやx、yなど)の最高次数が1である方程式のことです。
※文字と式について詳しく解説した記事もぜひ合わせてご覧ください。
次数とは掛け合わされている文字の個数のことでした。
例えば、2x+10の場合は文字(=x)が1個だけ掛け合わされているので、次数=1となります。
しかし、2x3-4の場合は文字(=x)が3個掛け合わされているので、次数=3となります。
※次数について詳しく学習したい人は多項式の定義について解説した記事をご覧ください。
そして、方程式とは式の中で文字がある値のときだけ成り立つ等式のことでした。
例えばx+3=5という等式はx=2のときだけ成り立ちますね。なので、x+3=5は方程式と言えるわけです。
また、x+3=5は次数=1なので一次方程式と言うことができます。
一次方程式の解き方(基本編)
ではここからは一次方程式を解いていきます。
一次方程式の解き方は等式の性質を理解していれば簡単に解けますのでご安心ください。
等式の性質とは以下の4つことでした。
A=Bのとき、
- A+C=B+C
- A-C=B-C
- AC=BC
- A/C=B/C(ただし、C≠0)
が成り立つ。
※詳しくは等式とは何かについて解説した記事をご覧ください。
以上を頭に入れながら、以下の一次方程式の例題を解いてみましょう。
【例題】
以下の一次方程式を解きなさい。
(1)x+6=19
(2)x-5=23
(3)3a=-12
【解答&解説】
(1)一次方程式を解くということは文字の値が何かを判別することです。
今回は文字がxなので、xの値は何か?を求めていきます。
A=Bのとき、A-C=B-Cでした。今回は両辺から6を引いてみましょう。
すると、x+6-6=19-6となりますね。整理すると、
x=13となり、xの値は13・・・(答)であることがわかりました。
(2)A=Bのとき、A+C=B+Cでした。
今回は両辺に5を足してみます。すると、
x-5+5=23+5より、x=28・・・(答)となります。
一次方程式を解くには、どうすれば文字のみを残せるか?を考えてみてください。
(3)今回は文字がxではなくaなのでご注意ください。一次方程式の文字は毎回xであるとは限りません。
A=Bのとき、A/C=B/Cでした(C≠0)
今回は両辺を3で割ればaが残りそうですね。
3a÷3=-12÷3より、a=-4・・・(答)となります。
以上が一次方程式の解き方となります。繰り返しにはなりますが、一次方程式を特には等式の性質をしっかりと理解しておくことが大切です。
一次方程式の解き方(応用編)
では、少しだけ難易度が上がった一次方程式を解いてみましょう。
【例題】
以下の一次方程式を解きなさい。
(1)3x=-x+8
(2)8+x=4x-10
【解答&解説】
(1)A=Bのとき、A+C=B+Cでした。
まずは両辺にxを足してみましょう。すると、
4x=8となり、右辺にあった-xが消えましたね。
※左辺・右辺とは何かについて解説した記事もぜひ合わせてご覧ください。
あとはA=Bのとき、A/C=B/Cでした(C≠0)ので、両辺を4で割ります。
すると、x=8÷4=2・・・(答)となります。
(2)先ほどの(1)と同様に、左辺にxを集めることを考えてみましょう。
今回は右辺に4xがあるので、両辺から4xを引きます。すると、
8+x-4x=-10となりますね。すなわち、8-3x=-10です。
次は左辺にある8を右辺に移行させることを考えます。両辺から8を引けば良いですね。
すると、-3x=-10-8より、-3x=-18となります。
したがって、x=6・・・(答)が求まります。
両辺に文字があるときは、左辺に文字を右辺に数を集めることを意識してみてください。
一次方程式の解き方(分数がある場合)
一次方程式に分数があっても慌てることはありません。
A=BのときAC=BCを活用するだけです。では、例題を解いてみましょう。
【例題】
以下の一次方程式を解きなさい。
1/3x+4=2/5x+10
【解答&解説】
一次方程式に分数が入っている場合は両辺に何をかければ分母が消えるか?を意識してみてください。
今回は両辺の分母に3と5があるので、3と5の最小公倍数である15をかければ分母が消えそうですね。
両辺に15をかけると、5x+60=6x+150になりますね。あとは左辺にxを、右辺に数字を移行させるだけです。
5x-6x=150-60となるので、-x=90が導けます。よってx=-90・・・(答)となります。
一次方程式を利用した文章題
一次方程式の分野では一次方程式を利用した文章題もよく出題されます。
一次方程式を利用した文章題は以下の流れを意識して解いてみましょう。
- 基本的には求めるものをxとおいてみましょう(xではなくaなど他の文字でも問題ありません)
- 文章題にそって等しい数量を見つけ、方程式を立てる
- 立てた方程式を解く
【問題】
(1)1個120円のノートを何冊か購入し、500円の限定バッグに入れてもらったところ、代金の合計は1100円だった。何冊のノートを購入したか求めよ。
(2)A君の年齢は現在7歳で、お母さんの年齢は現在34歳である。お母さんの年齢がA君の年齢の2倍になるのは何年後か求めなさい。
(3)何人かの生徒にお菓子を配るのに、1人に5個ずつ配るとお菓子は7個余り、1人に6個ずつ配るとお菓子は8個足りない。このとき、生徒の人数とお菓子の個数を求めよ。
(4)母が家を出発して80m/分の速度え歩き始めた。父は母が家を出発してから9分後に家を出発し、自転車で200m/分の速度で母を追いかけていった。このとき、父が母に追いつくのは父が家を出発してから何分後か求めなさい。
【解答&解説】
(1)ノートをx冊購入したとしましょう。
すると、120x+500=1100という一次方程式が立てられますね。
両辺から500を引くと120x=600となるので、x=5が求まるのでノートは5冊・・・(答)購入したことがわかります。
(2)x年後にお母さんの年齢がA君の年齢の2倍になるとします。
x年後はA君の年齢=7+x[歳]、お母さんの年齢=34+x[歳]ですね。
よって、34+x=2(7+x)という一次方程式が立てられます。
34+x=14+2xより、-x=-20となるので、x=20が求まります。
よって答えは20年後・・・(答)となります。
(3)今回は生徒の人数とお菓子の個数という2つを求めなければなりません。どちらをxとおけば良いのか悩みますね。
こういった文章題では数が少ない方をxとおいた方がスムーズに解ける場合が多いです。
生徒の数とお菓子の個数を比べたとき、数が少ないのはどう考えても生徒の数ですね。よって今回は生徒の数をxとおいてみましょう。
すると、1人に5個ずつ配るとお菓子は7個余るという条件からお菓子の個数は5x+7[個]と表すことができますね。
また、1人に6個ずつ配るとお菓子は8個足りないという条件からお菓子の個数は6x-8[個]とも表すことができます。
よって5x+7=6x-8より、-x=-15となるのでx=15となります。つまり、生徒の数は15人・・・(答)となります。
お菓子の個数は5×15+7=82[個]・・・(答)となります。
※お菓子の個数は6×15-8=82[個]と求めても問題ありません。
(4)父が家を出発してからx分後に母に追いつくとします。父が母に追いついたとき、父が進んだ道のりと母が進んだ道のりは等しくなることに注目しましょう。
道のり=速さ×時間で求められるので、200x=80(9+x)という一次方程式を立てることができますね。
200x=80(9+x)を整理すると、200x=720+80xより、120x=720となります。
よって、x=6[分後]・・・(答)が答えとなります。
いかがでしたでしょうか?今回は一次方程式とは何かについて解説した後、一次方程式の解き方や一次方程式を利用した文章題をご紹介していきました。
一次方程式は中学数学の重要分野の1つです。この先も必ず使用するので今のうちにしっかりと解けるようにしておきましょう!