2022年に必修化、2025年からの共通テストに出題予定となった新しい科目の情報1ですが、その特徴の1つとしては「プログラミング学習の必須」があげられます。
※情報1の内容について詳しく解説した記事もぜひ合わせてご覧ください。
つまり、すべての高校生がプログラミングを学習することになったのです。
後ほど詳しく解説しますが、プログラミングをするにはプログラミング言語というものをまずは選択する必要があります。
しかし、プログラミング言語には様々な種類があり、情報1の教科書によって取り扱っているプログラミング言語も異なります。
そこで今回は情報1におけるプログラミング言語とは何かについて解説した後、各教科書が取り扱っているプログラミング言語のご紹介やどのプログラミング言語が共通テストに有利なのか?などについて解説していきます。
情報1を学習する高校生が必ず知っておくべき内容なので、必ず最後までチェックしておきましょう。
【情報1】プログラミング言語とは?
まずはプログラミング言語とは何かについて解説しておきます。
「言語」と名が付いているので、プログラミング言語とは何かを理解するには日本語や英語、中国語などを例に考えると理解しやすいです。
例えば、日本という国ではほとんどの人が日本語を使って生活をしていますね。
アメリカでは英語、中国では中国語といったように、国によって使っている言語は異なります。
そして、言語によっても様々な特徴があります。例えば「私はテニスをする」を日本語と英語で比較してみましょう。
日本語では「主語(私は)→目的語(テニスを)→動詞(する)」という流れになっていますが、英語では「I play tennis」となるので「主語(I)→動詞(play)→目的語(tennis)」となります。
日本語と英語では目的語と動詞が逆になっていますね。このように、言語が違えば文法などの特徴も違ってくるのです。
では、これをプログラミングに置き換えてみます。
世の中にはプログラミングという技術を使って作られたものがたくさんあります。
例としては
- Googleなどの検索エンジン
- TikTokなどのスマホアプリ
- 大学のホームページ(WEBサイト)
- 通販サイト
など、あげればキリがありません。そして、プログラミングをするにはプログラミング言語を使わないといけません。言葉を発するのに言語が必要なのと同じです。
何を作るかによって選択するプログラミング言語は変わってきます。
例えば、
- ホームページ(WEBサイト)を作りたい→JavaScriptというプログラミング言語を選択
- スマホアプリ(iPhoneアプリ)を作りたい→Swiftというプログラミング言語を選択
のようにプログラミング言語によってできることや特徴が変わってきます。
これは先ほどの国と言語の話と似ています。
- アメリカでは英語を使う、日本では日本語を使う
- ホームページ(WEBサイト)制作ではJavaScriptを使う、スマホアプリ(iPhoneアプリ)制作ではSwiftを使う
といった感じです。
プログラミング言語は200種類以上もあると言われており、言語によって文法の特徴や習得の難易度も変わってきます。
※プログラミング言語にも文法(=書き方)が存在します。
情報1で使うプログラミング言語は?
では、情報1で用意されているプログラミング言語は何になるのでしょうか?
2023年3月時点で情報1の教科書は全部で13冊用意されており、各教科書で使われているプログラミング言語は以下の通りPython(パイソン)、JavaScript(ジャバスクリプト)、VBA(ブイビーエー)、Scratch(スクラッチ)の4つです。
出版社 | 教科書(教科書コード) | Python | JavaScript | VBA | Scratch |
---|---|---|---|---|---|
東京書籍 | 『新編情報Ⅰ』(情Ⅰ701) | ● | ● | ||
東京書籍 | 『情報Ⅰ Step Forward!』(情Ⅰ702) | ● | ● | ||
実教出版 | 『高校情報Ⅰ Python』(情Ⅰ703) | ● | |||
実教出版 | 『高校情報Ⅰ JavaScript』(情Ⅰ704) | ● | |||
実教出版 | 『最新情報Ⅰ』(情Ⅰ705) | ● | |||
実教出版 | 『図説情報Ⅰ』(情Ⅰ706) | ● | |||
開隆堂 | 『実践 情報Ⅰ』(情Ⅰ707) | ● | |||
数研出版 | 『高等学校 情報Ⅰ』(情Ⅰ708) | ● | ● | ● | |
数研出版 | 『情報Ⅰ Next』(情Ⅰ709) | ● | ● | ● | |
日本文教出版 | 『情報Ⅰ』(情Ⅰ710) | ● | ● | ||
日本文教出版 | 『情報Ⅰ図解と実習-図解編』(情Ⅰ711) | ● | |||
日本文教出版 | 『情報Ⅰ図解と実習-実習編』(情Ⅰ712) | ● | |||
第一学習社 | 『高等学校 情報Ⅰ』(情Ⅰ713) | ● | ● |
結果としてはPythonが最も人気で、次に人気なのはVBAでした。
情報1で使うプログラミング言語の特徴
先ほど解説した通り、情報1の教科書では
- Python
- JavaScript
- VBA
- Scratch
という4つのプログラミング言語が取り上げられています。
この4つのプログラミング言語に共通して言える特徴は、
- プログラミング初心者でも比較的習得しやすい
- 文法がシンプルでわかりやすい
の2つです。
ここからは4つのプログラミング言語それぞれの詳しい特徴について解説していきます。
Pythonの特徴
Pythonは今、世界で最も注目されていると言っても過言ではないプログラミング言語です。
ニュースなどでもよく聞く人工知能(AI)の開発とも非常に相性が良く、様々な分野で使われています。
Pythonでできることしては以下が代表例としてあげられます。
- WEBサービスの開発
- 人工知能(AI)の開発
- データ分析の効率化
- ブロックチェーンの開発
JavaScriptの特徴
JavaScriptはホームページやWEBサービスなどのWEB開発で使用されることが多いプログラミング言語です。
JavaScriptはWEB開発には欠かせない重要なプログラミング言語になっており、今も多くのWEBサービスやホームページなどで使われているため、将来性が高いと言われています。
ちなみにですが、JavaScriptと似たようなプログラミング言語としてJavaというプログラミング言語がありますが、この2つはまったく別物なのでご注意ください。
JavaはJavaScriptよりも習得難易度が高いといわれており、文法もJavaScriptより複雑であるケースが多いため、一般的にはプログラミング上級者向けのプログラミング言語となっています。
VBAの特徴
VBAはVisual Basic for Applicationsの略で、Microsoftが提供しているWord、Excel、PowerPointなどのいわゆるOfficeソフトで使用するためのプログラミング言語です。
PythonやJavaScriptと同様に初心者でも学習しやすいプログラミング言語になっています。
高校生でもWordやExcel、PowerPointを使う機会はあるかと思いますので、比較的身近に存在するプログラミング言語と言えるでしょう。
Scratchの特徴
ScratchはMIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームが小中学生向けの教育ツールとして開発したプログラミング言語です。
Scratchはブロックをつなげていくだけでプログラミングができるので、レゴのような感覚でプログラミングを学習することができます。
Scratchの公式サイトにアクセスするだけで簡単に・すぐに・無料でプログラミングができるというのが最大の特徴です。
プログラミングに対して苦手意識が強い生徒にはおすすめのプログラミング言語となっています。
情報1の共通テストで使用されるプログラミング言語は?
冒頭でも軽く触れましたが、2025年からの共通テストでは情報1が出題予定(科目名=情報)となっており、国立大学協会は情報を入試対象にすると既に表明しています。私立においては早稲田大学が既に情報の採用を決めています。
※情報1の共通テストについて詳しく解説した記事もぜひ参考にしてください。
先ほど解説した通り、高校の授業の情報1で使用されるプログラミング言語は
- Python
- JavaScript
- VBA
- Scratch
の4つが主流ですが、共通テストではDNCLという擬似プログラミング言語が使用されます。
上記の通り、情報1では教科書によって採用されているプログラミング言語が異なっており、プ
ログラミングの実習時間も学校によって異なります。
なので、共通テストではこのような事情を考慮し、生徒全員が平等な条件で情報を受験できるようにするため、既存のプログラミング言語ではない擬似プログラミング言語としてDNCLを採用しているのです。
※DNCLは共通テスト用の手順記述言語とも呼ばれています。
高校の授業でPythonを学習したから共通テストで有利になる、VBAを学習したら不利になるといったことはありませんのでご安心ください。
DNCLに関する細かい文法や詳しい説明は既に独立行政法人大学入試センターが「共通テスト手順記述標準言語」という資料を公開しているので、興味がある人はぜひご覧ください。
共通テスト(情報1)の使用プログラミング言語:DNCLの練習をするには?
高校生の中には共通テストで使われる(擬似)プログラミング言語がDNCLなら、今のうちからDNCLに触れて文法の書き方などを練習・勉強しておきたいと思う人もいるでしょう。
そのような高校生におすすめのサイトがDNCL学習環境「どんくり」です。
「どんくり」では先ほどご紹介した独立行政法人大学入試センターが公開している「共通テスト手順記述標準言語」に則ったプログラミングをすれば(=コードを書けば)その結果がすぐに表示されます。
使い方の手順は以下の通りです。
「どんくり」にアクセスする
まずは「どんくり」にアクセスしましょう。すると、以下のような画面が登場します。
この画面に(擬似)プログラミング言語DNCLを書いてプログラミングをしていきます。
プログラミングをする
では実際にプログラミングをしてみましょう。
今回はDNCLの文法に則って「変数xに10を代入し、そのxを表示させる」というプログラムを実行してみます。
まずは変数xに10を代入します。DNCLではこれを
x ← 3
と書きます。そして次はxを表示させましょう。
DNCLではxを表示させるために
xを表示する
と書きます。以上2つを「どんくり」に書くと以下のようになります。
「実行」ボタンをクリック
プログラム(コード)が書けたら最後に左上にある「実行」をクリックします。
すると、右側に3が表示されていることが確認できます(以下の画像参照)
以上がDNCL学習環境「どんくり」の使い方です。早めに共通テストの対策をしておきたい高校生は使えるようにしておくと便利です。
いかがでしたか?
今回は情報1で登場するプログラミング言語とはそもそも何かについて解説した後、情報1の教科書で登場するPythonやJavaScript、VBA、Scratchといったプログラミング言語の特徴などについて解説していきました。
本サイトでは情報1に関する情報を適宜発信していくので、ぜひチェックをお願いいたします。
※情報1の参考書についてまとめた記事や情報1の問題集についてまとめた記事もご用意しているので、ぜひ参考にしてください。