不等号は中学数学でも学習しましたが、高校数学でも引き続き登場します。
不等号の意味を理解しないないと、もちろん高校数学の勉強はかなりつまずいてしまうので、必ず理解しておきましょう。
本記事では、早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者が、不等号の意味や読み方、向きの覚え方、使い方などを徹底解説します。
本記事を読めば不等号に関する基礎知識は十分かと思いますので、ぜひ最後までお読みください。
不等号とは?意味や読み方
不等号とは2つ以上の数字を比較したとき、どちらが大きいか小さいかを示すための記号です。
記号は「<」「>」「≦」「≧」の4つがあります。
それぞれ順番に詳しく解説します。
<(小なり)
1つ目は「<」です。「小なり」と読みます。
2つの数、aとbがあったとき「a<b」で「a小なりb」と読みます。
意味は「aはbよりも小さい(aはb未満)」です。
例えば、5は8よりも小さいので、5<8と表記することができます。
>(大なり)
先ほどご紹介した「<(小なり)」の反対で「>」は「大なり」と読みます。
2つの数、aとbがあったとき「a>b」で「a大なりb」と読みます。
意味は「aはbよりも大きい」です。
例えば、10は3よりも大きいので、10>3と表記することができます。
ちなみに、aはbよりも大きいということはbはaよりも小さいということになるので、a>bとb<aは同じ意味になります。
≦(小なりイコール)
記号「<(小なり)」の下に記号「=(イコール)」がついて「≦(小なりイコール)」と読みます。
2つの数、aとbがあったとき「a≦b」で「a小なりイコールb」と読みます。
意味は「aはb以下である」です。「以下」であることに注意してください。
なので、5≦5は正しい表記です。しかし、5<5は正しくありません。先ほど解説した通り、「<(小なり)」は「未満」を表しています。
3≦10などはもちろん正しいです。
≧(大なりイコール)
「≧」は「大なりイコール」と読みます。
2つの数、aとbがあったとき「a≧b」で「a大なりイコールb」と読みます。
意味は「aはb以上である」です。こちらは「以上」であることに注意してください。
したがって、例えば7≧7は正しいですが、7>7は正しくありません。40≧20などはもちろん正しいです。
不等号で3つの数の大小を比較する場合
先ほどまではaとbという2つの数の大小を不等号で表現してきましたが、3つの数の大小も表現可能です。
例えば、3<6<10のように表記すれば問題ありません。
この場合の読み方は「3小なり6小なり10」となります。
しかし、5<9<7のような表記はありえないのでご注意ください(5<9は正しいが、9<7は正しくないため)
不等号の向きと読み方を一発で覚える方法
最初のうちは「<」が小なりなのか大なりなのかなど、頭の中が混乱してしまう人も多いかと思います。
そんな人のために不等号の向きと読み方を一発で覚える方法をご紹介します。
まず、すべての不等号(「<」「>」「≦」「≧」)においては口が開いている方の数が大きいと理解してきましょう。
そして、読み方の覚え方ですが、「くは小なり」と覚えましょう。これにより平仮名の「く」の形をした不等号「<」=小なりであると思えることができます。
それさえ覚えておけば「<」と逆向きの「>」は「大なり」とわかりますし、「≦」は「<(小なり)」にイコールが付いただけなので問題ないでしょう。「≧」も同様です。
不等号と不等式の違いとは?
不等号と不等式の違いを理解できていない人も多いかと思いますので、簡単に解説しておきます。
不等号とは先ほど解説した通り、記号(「<」「>」「≦」「≧」)そのもののことです。
そして、数の大小関係を不等号を使って表現した式のことを不等式と言います。
例えば、a<bやp>q、x≧yなどのことです。
※等式とは何かについて解説した記事もぜひ合わせてご覧ください。
不等式の左側の辺(上記のa、p、x)を左辺、右側の辺(上記のb、q、y)を右辺と言います。
左辺と右辺を合わせて両辺と言います。
高校数学の数学1では不等式を使った計算問題を学習します。その代表が一次不等式であり、高校数学の基本的な分野の1つです。
一次不等式とは何かについて解説した記事もご用意しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
不等号の向きが変わるケース
不等式a<bにおいては、両辺に負の数を掛けたり割ったりすると不等号の向きが変わります。
これは不等式・不等号の学習では非常に重要なことなので必ず覚えておきましょう。
例えば、10<40・・・(✳︎)という不等式があるとします。
まずは両辺に負の数である-2を掛けてみましょう。
すると、-20>-80となります。-20<-80ではないのでご注意ください。不等号の向きが(✳︎)と逆になります。
今度は両辺を負の数-10で割ってみます。
すると、-1>-4となります。こちらも-1<-4ではないのでご注意ください。不等号の向きが(✳︎)と逆になります。
不等号に関する練習問題
最後に、不等号に関する練習問題をご用意しました。
必ず全問正解できるまで理解しましょう!
【練習問題】
以下の日本語を不等号を使って表現しなさい。
(1)5は10よりも小さい
(2)100は50よりも大きい
(3)pはq以下である。
(4)pはq以上である。
(5)p、q、rはp、q、rの順番で大きくなる。
(6)p、q、rはp、q、rの順番で大きくなる。
【解答&解説】
(1)5<10
(2)100<50
(3)p≦q
(4)p≧q
(5)p<q<r
(6)p>q>r
いかがでしたでしょうか?
今回は不等号の意味や読み方、不等号の向きと読み方を一発で覚える方法などをご紹介していきました。
不等号の意味を理解できていないまま高校数学の勉強を進めるのは非常に危険なので、必ず理解するようにしておきましょう。