高校数学の数学Aにおける場合の数の序盤に登場するのが辞書式配列法です。
辞書式配列法は苦手とする高校生も多いので、ぜひこれを機にできるようにしておきましょう。
本記事では早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者が辞書式配列法とは何かについて解説した後、辞書式配列法の解き方やコツをご紹介していきます。
最後には辞書式配列法の練習問題も用意しているので、ぜひ最後までご覧ください。
辞書式配列法とは
まずは辞書式配列法とは何かについて解説していきます。
日本語の辞書は「あ」から順番に単語が並んでいますね。また、英語の辞書は「a」から順番に単語が並んでいますね。
辞書式配列法とは辞書のように五十音順やアルファベット順に並べることで場合の数が何通りあるかを調べる方法です。
場合の数を数えるときは、もれなく・重複なく数え上げることが重要です。
辞書式配列法はもれなく・重複なく数え上げるに適した方法の1つなので、ぜひできるようにしておきましょう。
辞書式配列法の例題
では、辞書式配列法を使った例題を1つ解いてみましょう。
【例題】
a、a、a、b、cから3個を選んで1列に並べる方法は何通りあるか調べなさい。
【解答&解説】
今回は3個を選んで1列に並べるので、例えばabcとcbaは違うものとみなします。
では、辞書式配列法を使いながら3個を並べていきましょう。
まずはaが先頭にくるパターンから書き出していきます。
【aが先頭にくるパターン】
- aaa
- aab
- aac
- aba
- abc
- aca
- acb
続いてはbが先頭にくるパターンを書き出していきます。
【bが先頭にくるパターン】
- baa
- bac
- bca
最後はcが先頭にくるパターンを書き出していきます。
【cが先頭にくるパターン】
- caa
- cab
- cba
以上より、
- aが先頭にくるパターン=7通り
- bが先頭にくるパターン=3通り
- cが先頭にくるパターン=3通り
となるので、答えは7+3+3=13通りとなります。
辞書式配列法のコツ
辞書式配列法を使って書き出すときのコツは、必ず辞書のように法則性を意識しながら書き出すことです。
例えば上記の例題において、まずはaが先頭にくるパターンから書き出しました。
書き出すときに、aaa、aac、aba、aab・・・のように何の法則性もなく書き出してしまうと確実に混乱してしまいます。
例えば、日本語の辞書の場合だと「あさ(朝)」と「あさがお」は「あさ(朝)」が先で「あさがお」が後ですね。
英語の辞書の場合、「aab」と「abb」では「aab」が先にきて「abb」が後にきますね。
辞書式配列法を使うときは、必ず辞書のように法則性を持って書き出すことを意識してください。
辞書式配列法の練習問題
最後に辞書式配列法の練習問題をご用意しました。
辞書式配列法はたくさんの問題を解いて慣れることが重要ですので、とにかく問題数をこなしていきましょう。
【練習問題】
(1)5つの数字1、1、1、2、3の中から3つを選んでできる3桁の整数は何通りあるか求めよ。
(2)a、a、b、b、cの5個の文字から4個を選んで1列に並べる方法は何通りかるか求めよ。
(3)a、b、c、dの4文字を1列に並べるとき、1番目の文字はaではなく、2番目の文字はbではなく、3番目の文字はcではなく、4番目の文字はdではない並べ方は何通りあるか求めよ。
【解答&解説】
(1)辞書式配列法でもれなく・重複なく数え上げましょう。
【1が先頭にくるパターン】
111、112、113、121、123、131、132の7通りです。
【2が先頭にくるパターン】
211、213、231の3通りです。
【3が先頭にくるパターン】
311、312、321の3通りです。
よって7+3+3=13通り・・・(答)となります。
(2)aが先頭にくるパターンから順番に書き出していきましょう。
【aが先頭にくるパターン】
aabb、aabc、aacb、abab、abac、abba、abbc、abca、abcb、acab、acba、acbbの12通り
【bが先頭にくるパターン】
baab、baac、baba、babc、baca、baca、bacb、bbaa、bbac、bbca、bcaa、bcbaの12通り
【cが先頭にくるパターン】
caab、caba、cabb、cbaa、cbab、abbcの6通り
よって、12+12+6=30通り・・・(答)
(3)辞書式配列法の練習として、まずはすべてのパターンを書き出してみましょう。
【aが先頭にくるパターン】
abcd、abdc、acbd、acdb、adbc、adcbの6通り
【bが先頭にくるパターン】
bacd、badc、bcad、bcda、bdac、bdcaの6通り
【cが先頭にくるパターン】
cabd、cadb、cbad、cbda、cdab、cdbaの6通り
【dが先頭にくるパターン】
dabc、dacb、dbac、dbca、dcab、dcbaの6通り
以上より、すべてのパターンは6×4=24通り。
※すべてのパターンは順列を使って求めることも可能です。すべてのパターン=4P4=4・3・2・1=24[通り]となります。詳しくは順列とは何かについて解説した記事をご覧ください。
このうち、1番目の文字はaではなく、2番目の文字はbではなく、3番目の文字はcではなく、4番目の文字はdではない並べ方は
badc、bcda、bdac、cadb、cdab、cdba、dabc、dcab、dcbaの9通り・・・(答)です。
いかがでしたか?
今回は辞書式配列法とは何か・解き方とコツについて解説していきました。
辞書式配列法は場合の数において非常に基本的な手法となります。便利なので必ずできるようにしておきましょう。