数学Aの確率において、サイコロを使った問題は定番中の定番です。
また、サイコロを使った確率の問題は大学入試や共通テストでも頻出なので、対策が必須となります。
そこで今回は早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者がサイコロの確率の計算・求め方について徹底解説していきます。
基本的な問題はもちろんのこと、サイコロが2つ・3つある場合やゾロ目のパターンなど出題されやすい問題も取り上げていますので、数学や確率が苦手な人はぜひ最後までお読みください。
サイコロの確率の計算・求め方(2つ投げる編・ゾロ目も)
まずは基本的なサイコロの確率の計算・求め方(2個のサイコロを投げる場合)から見ていきましょう。
【問題】
(1)2つのサイコロを投げるとき、出る目の和が5の倍数になる確率を求めよ。
(2)2つのサイコロを投げるとき、出る目がゾロ目となる確率を求めよ。
【解答&解説】
サイコロを2つ投げる場合の問題においては、表を作るのが定石となります。必ず表の作り方を覚えておきましょう。
(1)以下のような表を作ります。
和 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
1行目が1回目、1列目が2回目のサイコロの目を表しています。
出る目の和が5の倍数(=5、10)になっているのは上記の表において7個ありますね。
2つのサイコロを投げたときの出る目の総数=6×6=36通り(上記の表でも36個のマスがありますね)なので、求める確率は7/36・・・(答)となります。
(2)ゾロ目とはサイコロを振ったときに同じ目(数)が出ることです。
今回も表を作りましょう。◯がついている箇所がゾロ目の部分となりますね。
ゾロ目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ◯ | |||||
2 | ◯ | |||||
3 | ◯ | |||||
4 | ◯ | |||||
5 | ◯ | |||||
6 | ◯ |
◯は全部で6個あるので、求める確率は6/36=1/6・・・(答)となります。
以上がサイコロの確率を求める基本問題となります。サイコロ2つの場合は表を作って確率を求めるというテクニックは必ず身につけておきましょう。
サイコロの確率の計算・求め方(3つ投げる編・ゾロ目も)
ここからはサイコロを3つ投げる・3回投げるパターンの問題をご紹介していきます。
サイコロ2つのときよりも難易度は上がりますが、しっかり学習していきましょう。
【問題】
(1)サイコロを3つ投げるとき、出る目の積が奇数である確率と偶数である確率をそれぞれ求めよ。
(2)サイコロを3つ投げるとき、ゾロ目となる確率を求めよ。
(3)サイコロを3つ投げるとき、出る目の和が5になる確率を求めよ。
(4)1つのサイコロを3回投げるとき、少なくとも1回は1の目が出る確率を求めよ。
(5)1つのサイコロを3回投げるとき、1回目は1の目、2回目は2以下の目、3回目は4以上の目が出る確率を求めよ。
【解答&解説】
(1)まずは奇数の確率から求めます。
サイコロを3つ投げたとき、出た目の積が奇数になるのは3つとも奇数であるときです。
1つのサイコロを投げたとき、出た目が奇数である確率は1/2なので、求める確率は1/2・1/2・1/2=1/8・・・(答)となります。
サイコロを3つ投げたとき、出た目の積が偶数になる確率=1-サイコロを3つ投げたとき、出た目の積が奇数になる確率で求められるので、1-1/8=7/8・・・(答)となります。
(2)サイコロを3つ投げたときの目の出方の総数は=63=216通りですね。
そのうち、ゾロ目(=3回ともすべて同じ目が出る)のは6通りなので、求める確率は6/216=1/36・・・(答)となります。
(3)サイコロを3つ投げたときの目の出方の総数は=63=216通りです。
出る目の和が5となるのは、
- (1、1、3)
- (1、2、2)
- (1、3、1)
- (2、1、2)
- (2、2、1)
- (3、1、1)
の6通りです。よって求める確率=6/216=1/36・・・(答)となります。
(4)少なくとも1回は1の目が出る確率=1-(1回も1の目が出ない確率)ですね(余事象)
※余事象とは何かについて解説した記事もぜひ合わせてご覧ください。
サイコロを3回投げて、1回も1の目が出ない確率=(5/6)3=125/216です。
よって求める確率=1-125/216=91/216・・・(答)となります。
(5)問題文の条件を満たすのは、1回目=1の目、2回目=1、2の目、3回目=4、5、6の目が出る場合ですね。
よって求める確率=1/6・2/6・3/6=1/36・・・(答)となります。
サイコロの確率の計算・求め方(4回以上投げる編)
最後はサイコロを4回以上投げる場合の問題です。
【問題】
(1)1個のサイコロを5回投げるとき、素数の目がちょうど4回出る確率を求めよ。
(2)1個のサイコロを5回投げるとき、素数の目がちょうど4回以上出る確率を求めよ。
(3)1個のサイコロを4回投げるとき、3の目が2回出る確率を求めよ。
(4)1個のサイコロを4回投げるとき、5以上の目が3回以上出る確率を求めよ。
(5)1個のサイコロを4回投げるとき、少なくとも1回3の倍数の目が出る確率を求めよ。
【解答&解説】
(1)サイコロを1回投げるとき、素数の目が出る確率=3/6=1/2ですね(素数=1、3、5より)
よって求める確率は5C4・(1/2)4・(1/2)1=5/32・・・(答)となります。
※Cの計算方法がわからない人は組み合わせCの計算と公式について解説した記事をご覧ください。
(2)素数の目が4回以上出るのは、素数の目が4回または5回出る場合なので、
5/32+(1/2)5=5/32+1/32=3/16・・・(答)となります。
※素数とは何かについて解説した記事もぜひ参考にしてください。
(3)4C2・(1/6)2・(5/6)2=25/216・・・(答)
(4)5以上の目が3回以上出るのは、5または6の目が3回または4回出る場合ですね。
よって求める確率=4C3・(2/6)3・(4/6)1+(2/6)4=1/9・・・(答)となります。
(5)サイコロにおいて3の倍数の目は3と6だけです。サイコロを4回投げて3の倍数が1回も出ない確率は、
(4/6)4=16/81
ですね。よって求める確率は余事象より、1-16/81=65/81・・・(答)となります。
「少なくとも」という言葉が問題文に登場したら、余事象を疑うようにしましょう。
サイコロの確率の問題で注意すること
サイコロの確率の問題では、サイコロをA・B・C・・・などと区別するという前提があります。
これは前提なので問題文にわざわざ記載がありません。
例えば、1つのサイコロを1回投げるという試行においては
- 1が出る確率
- 2が出る確率
- 3が出る確率
- 4が出る確率
- 5が出る確率
- 6が出る確率
はすべて1/6ですね。「4の目だけ他の目よりも出やすい」「1の目は一番出にくい」などはありません。
確率の問題では、起こりうるすべての場合について同様に確からしいことが前提にあります。そのためには、見た目が全く同じものでも区別して考えることがポイントととなります。
詳しくは同様に確からしいとは何かについて解説した記事をご覧ください。
「複数のサイコロを区別して考える」ということはあまり深く意識することはないですが、知識の1つとして知っておきましょう。
いかがでしたか?
今回はサイコロの確率に関する問題を取り上げていきました。
共通テストでは、サイコロの確率の問題はもちろんのこと、コインに関する確率の問題も頻出です。
コインの確率の計算について解説した記事もご用意していますので、ぜひ合わせてご覧ください。