高校数学の数学1では二次関数が登場しますが、これから二次関数の問題を解いていくにあたって平方完成の知識は必須となります。
平方完成を使うことで二次関数の頂点を求めたりすることができます。
本記事では早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者が二次関数の平方完成の公式・やり方を手順を踏んでわかりやすく解説していきます。
最後には平方完成の練習問題もご用意しています。ぜひ最後までお読みください。
二次関数の平方完成の公式・やり方
二次関数の平方完成の公式・やり方について解説する前に、まずは平方完成とは何かについて解説します。
平方完成とは二次式を一次式の2乗(平方)に変形させることです。
※一次式・二次式がわからない人は多項式の定義について解説した記事をご覧ください。
例えば、y=x2+6+10を平方完成するとy=(x+3)2+1となります。
※(x+3)2+1=x2+6x+9+1より、確かにx2+6x+10になっています。
y=x2+6+10という二次式をy=(x+3)2+1という一次式の2乗に変形させることができていますね。
※一次式とは何かについて解説した記事もぜひ参考にしてください。
平方完成のやり方ですが、例題を使いながら解説していきます。
y=x2+8x+20を平方完成してみましょう。
まずはxの係数に注目します。xの係数は8ですね。そして、8を2で割ります。8÷2=4ですね。
そして、(x+4)2という形を作ります。
(x+4)2=x2+8x+16なので、y=x2+8x+20と見比べると、x2+8xの部分が完成できてますね。
※2乗の公式がわからない人は数学1の因数分解について解説した記事をご覧ください。
(x+4)2に4を足せばx2+8x+20になることがわかるので、x2+8x+20を平方完成すると(x+4)2+4となります。
以上が平方完成のやり方になります。
x2の係数が1ではない場合の平方完成のやり方
では、例えば3x2+6x+18のようにx2の係数が1ではない場合はどうやって平方完成すれば良いのでしょうか?
結論としては、x2の係数が1になるようにします。
3x2+6x+18=3(x2+2x+6)と3を外にくくり出すことができます。
そして、x2+2x+6を平方完成することを考えます。
xの係数は2なので、2を2で割って(x+1)2としましょう。
(x+1)2=x2+2x+1ですね。
3(x2+2x+1)=3x2+6x+3となり、もとの式は3x2+6x+18なので、3x2+6x+3に+15をすれば良いですね。
よって、3x2+6x+3を平方完成すると、3(x+1)2+15となります。
以上がx2の係数が1ではないときの平方完成のやり方となります。
大学入試や共通テストではx2の係数が1ではない二次式の平方完成を行う機会は多いので、必ずできるようにしておきましょう。
平方完成でできること
以上で平方完成のやり方を解説しましたが、平方完成はどのようなときに使うのでしょうか?
高校数学では主に以下2つの用途で使います。
その1:二次関数の頂点・軸を求める
二次関数y=ax2+bx+cがあり、それを平方完成するとy=a(x-p)2+qとなるとします。
このとき、二次関数y=ax2+bx+cの頂点は(p、q)となります。
例えば、先ほどy=x2+6+10をy=(x+3)2+1と平方完成しました。
この場合、y=x2+6+10の頂点は(-3、1)となります。
平方完成を行なって二次関数の頂点を求めるのは高校数学の基本中の基本なので、必ず覚えておきましょう。
※二次関数の頂点の求め方について詳しく解説した記事もぜひ参考にしてください。
その2:二次方程式を解く
平方完成を使って二次方程式を解くこともできます。
例えば、二次方程式x2+8x+15を平方完成を使って解いてみましょう。
xの係数は8なので、(x+4)2を考えます。(x+4)2=x2+8x+16ですね。
よって、x2+8x+15を平方完成すると、(x+4)2-1となります。
よって、0=(x+4)2-1を考えると、(x+4)2=1となれば良いですね。
すなわち、x+4=±1よりx=-3、-5となります。
※x+4=±1になる理由がわからない人は平方根とは何かについて解説した記事をご覧ください。
実際にx2+8x+15を因数分解すると(x+3)(x+5)となるので、確かに解は-3と-5になっていることが確認できます。
平方完成を使って二次方程式を解く機会はあまりないですが、方法の1つとしては知っておきましょう。
平方完成の練習問題
最後に平方完成の練習問題をご用意しました。
平方完成はたくさんの問題を解いて慣れることが何よりも重要です。
【練習問題】
以下の二次式を平方完成せよ。
(1)x2+10x+8
(2)x2-8x-10
(3)x2+1/3x+4
(4)-x2+6x+32
(5)-5x2+30x+50
(6)-1/2x2+8x+9
【解答&解説】
(1)xの係数が10なので、(x+5)2を考えます。
(x+5)2=x2+10x+25より、平方完成すると(x+5)2-17・・・(答)となります。
(2)xの係数が-8なので、(x-4)2を考えます。
※(x+4)2としないようにご注意ください。
(x-4)2=x2-8+16より、平方完成すると(x-4)2-26・・・(答)となります。
(3)xの係数が1/3です。1/3を2で割ると1/6ですね。
なので、(x+1/6)2を考えましょう。
(x+1/6)2=x2+1/3x+1/36ですね。もとの式はx2+1/3x+4で、定数項の4=144/36でなので、(x+1/6)2に143/36を足せば良いことがわかります。
よって平方完成した形は(x+1/6)2+143/36・・・(答)となります。
二次式に分数が含まれるときは少し複雑ですが、平方完成のやり方をしっかりと理解しておけば大丈夫です。
(4)x2の係数が-1なので、マイナスを外に出しましょう。
-(x2-6x-32)となりますね。するとxの係数は-6なので、(x-3)2を考えます。
(x-3)2=x2-6x+9で、-(x2-6x+9)=-x2+6x-9です。もとの式は-x2+6x+32なので、-x2+6x-9に+41してあげる必要があります。
よって、平方完成すると-(x-3)2+41・・・(答)となります。
(5)-5を外に出しましょう。
-5(x2-6x-10)ですね。xの係数が-6なので、(x-3)2を考えて(x-3)2=x2-6x+9です。
-5(x2-6x+9)=-5x2+30x-45より、平方完成すると-5(x-3)2+95・・・(答)となります。
(6)-1/2を外に出します。
-1/2(x2-16x-18)より、(x-8)2を考えて(x-8)2=x2-16x+64ですね。
-1/2(x2-16x+64)=-1/2x2+8x-32となるので、+41すればもとの式-1/2x2+8x+9になることがわかります。
よって、平方完成すると-1/2(x-8)2+41・・・(答)となります。
いかがでしたか?
今回は平方完成のやり方や平方完成を使う場面、練習問題をご紹介しました。
繰り返しにはなりますが、平方完成はたくさんの練習問題を解いて慣れることが重要です。本記事でご紹介した練習問題だけでなく、参考書などでたくさんの問題をこなしてください。