高校数学の数学Aにおける確率の分野ではコインを活用した問題がよく出題されます。
実際に、共通テストでもコインに関する場合の数や確率に関する問題はよく出題されているので、対策は必須と言えます。
そこで今回は早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者がコインの確率の計算について例題で徹底解説していきます。
コインの裏表に関する問題はもちろんのこと、C(組み合わせ)の使い方などについても解説していくので、数学や確率が苦手な人はぜひ最後までご覧ください。
コインの確率の計算(基礎問題)
まずはコインの確率に関する基礎問題からご紹介していきます。以下の問題は超基本なので、必ず解けるようにしましょう。
【問題】
2枚のコインを同時に投げるとき、コイン2枚がともに表になる確率を求めよ。
【解答&解説】
2枚のコインを投げるとき、表と裏の出方は以下の4通りですね。
- 表・表
- 表・裏
- 裏・表
- 裏・裏
以上の4通りは22=4[通り]でも計算可能です。2枚のコインに対して、それぞれ表と裏があるので22となります。なので、例えばコインを3枚投げるときの表裏の出方の総数は23=8[通り]となります。
以上の4通りのうち、コイン2枚が表になっているのは1通りなので、求める確率は1/4・・・(答)となります。
以上はコインに関する確率の問題の超基本となりますので、必ず理解しておきましょう。
コインの確率の計算(3枚以上投げる場合)
大学入試や共通テストではコインを2枚(2回)投げる場合の問題はほとんど出題されません。
少なくとも3枚(3回)以上投げます。
コインを投げる回数が多いほど問題の難易度は上がっていきますが、しっかりと対策しておきましょう。
【問題】
(1)3枚のコインを投げて、表1枚、裏2枚が出る確率を求めよ。
(2)4枚のコインを投げて、表裏2枚ずつ出る確率を求めよ。
(3)1枚のコインを7回投げるとき、表が5回以上出る確率を求めよ。
(4)1枚のコインを7回投げるとき、7回目に3度目の表が出る確率を求めよ。
(5)本当のことを言う確率が80%の人が3人いる。1枚のコインを投げたところ、3人とも「表が出た」と言った。このとき、本当に表が出た確率を求めよ。
【解答&解説】
(1)上記でも解説した通り、コインを3枚投げる場合の起こりうるすべての場合の数は23=8通りですね。
このうち、表1枚、裏2枚が出る場合は
(表・裏・裏)(裏・表・裏)(裏・裏・表)
の3通りなので、求める確率は3/8・・・(答)となります。
ちなみにですが、以上の3通りは3C1または3C2でも計算可能です。3回投げるという試行のうち、2回を表とする組み合わせと考えられるからです。
※Cの計算方法がわからない人は組み合わせCの計算と公式について解説した記事をご覧ください。
また、よくある間違いですが、3枚のコインの表と裏の出方は
- 表3枚
- 表2枚・裏1枚
- 表1枚・裏2枚
- 裏3枚
の4通りであり、求める確率は、以上4通りのうち3(表1枚・裏2枚)のパターンだけなので1/4とするのはNGです。
これは例えば、1(表3枚)と2(表2枚・裏1枚)の確率はどう考えても同じとはならないからです。確率の用語を使って言えば、同様に確からしいという前提が崩れてしまいます。
※同様に確からしいとは何かについて解説した記事もご用意しているので、ぜひ参考にしてください。
(2)コインを3枚投げる場合の起こりうるすべての場合の数は24=16通りです。
表裏2枚ずつ出る場合は4C2=6通りです。
よって求める確率は6/16=3/8・・・(答)となります。
(3)1回の試行で、表が出る確率は1/2ですね。
[1]コインを7回投げて、ちょうど5回表が出る確率は、
7C5・(1/2)5(1-1/2)2=21/128
[2]コインを7回投げて、ちょうど6回表が出る確率は、
7C6・(1/2)6・(1-1/2)1=7/128
[3]コインを7回投げて、7回とも表が出る確率は、
(1/2)7=1/128
[1]・[2]・[3]は互いに排反なので、求める確率は、21/128+7/128+1/128=29/128・・・(答)となります。
(4)7回目に3度目の表が出るということは、6回目までに表がちょうど2回出て、7回目の3度目の表が出るということですね。
よって求める確率は、
6C2・(1/2)2・(1-1/2)4・1/2=15/128・・・(答)となります。
(5)コインを3回以上投げている問題ではありませんが、応用問題として取り上げさせていただきました。
本当に表が出るという事象をA、3人全員が「表が出た」と言った事象をBとすると、求める確率は条件付き確率PB(A)であり、
PB(A)=P(A∩B)/P(B)
となりますね。
ここで、P(A)=1/2、PA(B)=(80/100)3=64/125です。
したがって、P(B)
=P(A∩B)+P(A∩B)
=P(A)PA(B)+P(A)PA(B)
=1/2・64/125+(1-1/2)・(1-80/100)3
=65/250
P(A∩B)=64/250より、求める確率はPB(A)=64/250 ÷ 65/250=64/65・・・(答)となります。
いかがでしたでしょうか?
今回はコインの確率の計算を取り上げました。コインの確率の計算はある程度問題のパターンが決まっているので、解けなかった問題は必ず復習をして必ず解けるようにしておきましょう。
共通テストではコインの確率の計算だけでなく、サイコロの確率の計算も頻出です。サイコロの確率の計算・求め方について解説した記事もご用意しているので、ぜひ合わせてご覧ください。