小学校でも学習した比は中学数学でも引き続き登場します。そして、中学数学では比例式を解けるようにならなければなりません。
比例式は比・比の値をしっかりと理解していればそこまで難しくないのでご安心ください。
今回は早稲田大学教育学部数学科を卒業した人が比例式とは何か・比例式の解き方について例題でわかりやすく解説します。
また、分数や小数が登場した場合の比例式の解き方についても解説していきます。最後には比例式に関する練習問題もご用意しているので、ぜひ最後までご覧ください。
比例式とは?解き方は?
比a:bにおいて、a/bのことを比の値というのでした。
※詳しくは比の値とは何かについて解説した記事をご覧ください。
そして、a:bの比の値とc:dの比の値が等しいとき、a:b=c:dと表現し、この式のことを比例式といいます。
a:b=c:dのとき、比の値が等しいのでa/b=c/dが成り立ちます。
そして、両辺にbdをかけると、ad=bcとなることがわかります。
つまり、a:b=c:dにおいては外側の2つの積と内側の2つの積は等しくなる(ad=bc)のです。
※これを内項の積=外項の積といいます。
ad=bcが頭に入っていると、以下の比例式も簡単に解くことができます。
【例題】
比例式3:2=6:aが成り立つとき、aの値を求めよ。
【解答&解説】
a:b=c:dのとき、ad=bcが成り立つので、3:2=6:aのとき、3×a=2×6が成り立ちます。
つまり、3a=12となるので、a=4・・・(答)となります。
【検算】
a=4のとき、6:a=6:4となるので、確かに3:2になっていることが確認できます。
比例式の解き方(分数がある場合)
以上で比例式の解き方について解説しましたが、比例式に分数が入っている場合はどうすれば良いのでしょうか?例題で解説していきます。
【例題1】
比例式2/5:3/8=32:aが成り立つとき、aの値を求めよ。
【解答&解説】
まずは比例式2/5:3/8を整数の比に直すことを考えましょう。
分母に注目して、5と8の最小公倍数は40なので、両方に40をかけて
2/5:3/8=16:15となりますね。
つまり、16:15=32:aとなります。
よって、16×a=15×32となります。15×32=480なので、16a=480より、a=30・・・(答)となります。
※今回はa:b=c:dのとき、ad=bcが成り立つことを学習する目的で16×a=15×32からa=30を求めましたが、16:15=32:aにおいて、32が16の2倍になっていることに気づくことができれば、a=15×2=30とすぐに求めることも可能です。
では、もう1つ比例式に分数が入っている例題を解いてみましょう。
【例題2】
比例式2/7:5=3/8:aが成り立つとき、aの値を求めよ。
【解答&解説】
今回は先ほどの例題とは違って右辺にも分数が含まれています。
a:b=c:dのとき、ad=bcが成り立つので、2/7:5=3/8:aのとき、2/7 ×a=5×3/8となります。
つまり、2/7 ×a=15/8です。
7と8の最小公倍数は56なので、両辺に56をかけると16a=105となるので、a=105/16・・・(答)となります。
【別解】
2/7:5=3/8:aの時点で両辺に56をかけて分数を消しても問題ありません。両辺に56をかけると、
16:280=21:56aより、16×56a=280×21となります。
したがって、896a=5880よりa=105/16が求まります。
ただし、計算が複雑になりやすいので最初から内項の積=外項の積を使って2/7 ×a=5×3/8という式を作ってからaを求める方が簡単です。
比例式の解き方(小数がある場合)
比例式に小数が含まれている場合も、分数が含まれていたときと考え方は同じです。整数の比を作ることを考えましょう。
【例題1】
比例式0.5:0.8=4:aが成り立つとき、aの値を求めよ。
【解答&解説】
まずは0.5:0.8を整数の比にしましょう。両方に10をかけて、5:8とします。
すると、5:8=4:aとなりますね。
よって、5a=32よりa=32/5・・・(答)となります。
【例題2】
比例式0.6:0.9=0.5:aが成り立つとき、aの値を求めよ。
【解答&解説】
次は右辺にも小数が含まれていますね。
0.9×0.5を行うと計算が複雑になりそうなので、今回は両辺を10倍してみましょう。
すると、6:9=5:10aとなりますね。
6:9=2:3、5:10a=1:2aなので、6:9=5:10aは2:3=1:2aとなります。
※10a÷5=2aとなるのでした。詳しくは一次式の計算方法について解説した記事をご覧ください。
2:3=1:2aより、2×2a=3×1より、4a=3となるのでa=3/4・・・(答)となります。
なるべく楽に計算するには「どのタイミングで分数や小数点を消せば良いか?」を意識してみてください。
比例式の練習問題
最後に比例式の練習問題をご用意しました。
すべて上記で学習したことがしっかり頭に入っていればすべて解ける問題になっているので、ぜひチャレンジしてみてください。
【問題】
以下の比例式において、aの値を求めなさい。
(1)6:17=10:a
(2)5:9=2:a
(3)5/4:2/3=a:5
(4)3/8:3/4=a:1/6
(5)1.5a:4=7:1
(6)0.5:4/5=a:1.05
【解答&解説】
(1)6×a=17×10より、6a=170となるので、a=170/6・・・(答)
(2)5×a=9×2より、5a=18となるので、a=18/5・・・(答)
(3)5/4 × 5=2/3 × aより、25/4=2/3 × aとなるので、a=25/4 × 3/2=75/8・・・(答)
(4)3/8 × 1/6=3/4 × aより、1/16=3/4 × aとなるので、a=1/16 × 4/3=1/12・・・(答)
(5)1.5a×1=4×7より、1.5a=28が成り立ちます。両辺を10倍すると15a=280となるので、a=280/15=56/3・・・(答)
(6)両辺を100倍しましょう。
50:80=100a:105となりますね。
50:80=5:8
100a:105=20a:21
となるので、5:8=20a:21となります。
5×21=8×20aより、105=160aとなるので、a=105/160=21/32・・・(答)となります。
いかがでしたか?今回は比例式とは何か・比例式の解き方について解説しました。
比例式に分数、小数が含まれているときは何をかければ分数や小数点を消すことができるかをぜひ意識してください。