高校数学の数学Aにおける確率の分野ではじゃんけんに関する確率の問題がよく出題されます。
じゃんけんはシンプルなルールでありながらも、確率のことを考えると非常に奥が深いです。
今回は早稲田大学教育学部数学科を卒業した筆者がじゃんけんと確率に関して徹底解説していきます。
具体的な内容としてはじゃんけんに勝つ確率やあいこになる確率、2人・3人・4人でじゃんけんをした場合の確率など大学入試や共通テストで出題されそうなことを取り上げていきます。
また、じゃんけんに関して便利な公式もご紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
じゃんけんと確率(2人でじゃんけんの超基本)
まずはじゃんけんにおいて超基本的な確率から求めていきます。
2人でじゃんけんをするとき、
- 1回の勝負で勝つ確率
- 勝負がつくまでじゃんけんを繰り返すとき、勝つ確率
を求めてみます。
まずは2人でじゃんけんをするとき、1回の勝負で勝つ確率ですが、これは1/3となります。
じゃんけんではグー・チョキ・パーの3通りがあるので、すべての手の組み合わせは3×3=9通りですね。
このうち、自分が勝つ組み合わせは(自分、相手)=(グー、チョキ)(チョキ、パー)(パー、グー)の3通りなので、1回の勝負で勝つ確率=3/9=1/3となります。
一方で、勝負がつくまでじゃんけんを繰り返すとき、勝つ確率は1/2となります。
これは自分と相手という2人の人間がいて、勝負がつくまでじゃんけんを繰り返すということは勝つ or 負けるなので、シンプルな話で1/2となります。
じゃんけんと確率の問題を解くときは、まずは以上の基本的なことを理解しておきましょう。
じゃんけんと確率(2人・3人・4人のパターン)
ここからは2人・3人・4人でじゃんけんをする場合の問題をご紹介していきます。
すべてじゃんけんと確率の基本的な問題なので、しっかり解けるようにしておきましょう。
【問題】
(1)2人でじゃんけんを1回するとき、勝負が決まる確率を求めよ。
(2)A・B・Cの3人でじゃんけんを1回するとき、Aだけが負ける確率を求めよ。
(3)A・B・Cの3人でじゃんけんを1回するとき、1人だけが勝つ確率を求めよ。
(4)4人でじゃんけんを1回するとき、あいこになる確率を求めよ。
【解答&解説】
(1)勝負が決まるということは、自分が勝っても相手が勝ってもいいわけです。
1回のじゃんけんで自分が勝つ確率は、上記でも解説した通り1/3です。
1回のじゃんけんで相手が勝つ確率も同様に1/3なはずです。
よって答えは1/3+1/3=2/3・・・(答)となります。
【別解】勝負が決まらない場合=あいこになったということです。あいこになる確率も1/3なので、1-1/3=2/3と求めることも可能です。このような求め方を余事象といいます。
※余事象とは何かについて解説した記事もぜひ合わせてご覧ください。
(2)今回は3人でじゃんけんをするので、手の出し方の総数=33=27通りです。
Aだけが負ける場合は、
(A、B、C)=(グー、パー、パー)(チョキ、グー、グー)(パー、チョキ、チョキ)
の3通りですね。
よって答えは3/27=1/9・・・(答)となります。
(3)1人だけが勝つ場合、勝者の決まり方はAかBかCかの3通りありますね。
そのどの場合に対しても、勝ち方がグー、チョキ、パーの3通りあるので、求める確率は3×3/27=1/3・・・(答)となります。
(4)今回は4人でのじゃんけんなので、手の出し方の総数=34=81通りです。
あいこになる場合は以下の2パターンです。
[1]手の出し方が1種類のとき
(グー、グー、グー)(チョキ、チョキ、チョキ)(パー、パー、パー)の3通りですね。
[2]手の出し方が3種類のとき
(グー、グー、チョキ、パー)(グー、チョキ、チョキ、パー)(グー、チョキ、パー、パー)の3つの場合があります。
出す人を区別すると、どの場合も4!/2!通りずつあるので、全部で4!/2! ×3=36[通り]となります。
以上より、求める確率は(3+36)/81=13/27・・・(答)となります。
じゃんけんと確率(5人・6人のパターン)
ここからは5人・6人でじゃんけんをする場合の問題です。じゃんけんをする人数が増えるほど難しくなっていきますが、頑張ってください。
【問題】
(1)5人でじゃんけんを1回するとき、1人だけが勝つ確率を求めよ。
(2)5人でじゃんけんを1回するとき、あいこになる確率を求めよ。
(3)5人でじゃんけんを1回するとき、2人が勝つ確率を求めよ。
(4)6人でじゃんけんを1回するとき、3人が勝つ確率を求めよ。
(5)6人でじゃんけんを1回するとき、勝者が決まる確率を求めよ。
【解答&解説】
(1)手の出し方の総数は35=243通りです。
1人だけが勝つ場合、勝者の決まり方は5通りです。
そのおのおのについてグーで勝つか、チョキで勝つか、パーで勝つかの3通りがあるので、求める確率は5×3/243=5/81・・・(答)となります。
(2)あいこになる場合は以下の2つのパターンがあります。
[1]手の出し方が1種類のとき
(グー、グー、グー)(チョキ、チョキ、チョキ)(パー、パー、パー)の3通りですね。
[2]手の出し方が3種類のとき
- (グー、グー、グー、チョキ、パー)
- (グー、チョキ、チョキ、チョキ、パー)
- (グー、チョキ、パー、パー、パー)
- (グー、グー、チョキ、チョキ、パー)
- (グー、グー、チョキ、パー、パー)
- (グー、チョキ、チョキ、パー、パー)
の6つの場合があります。出す人を区別すると、
1〜3はそれぞれ5!3![通り]、4〜6はそれぞれ5!/2!2![通り]なので、
全部で5!/3! ×3 + 5!/2!2! ×3=150[通り]となります。
よって、求める確率は(3+150)/243=17/27・・・(答)となります。
(3)2人が勝つ場合、勝者の決まり方=5C2=10通りですね。
※Cの計算方法がわからない人は組み合わせCの計算と公式について解説した記事をご覧ください。
そのおのおのについてグーで勝つか、チョキで勝つか、パーで勝つかの3通りがあるので、求める確率は10×3/243=10/81・・・(答)となります。
(4)6人でじゃんけんをするときの手の出し方の総数は36=729通りです。
勝者が3人であるとき、勝者3人の選び方は6C3=20通りですね。
そのおのおのについてグーで勝つか、チョキで勝つか、パーで勝つかの3通りがあるので、求める確率は20×3/729=20/243・・・(答)となります。
(5)(4)と同様に考えて、勝者が1人、2人、4人、5人であるときの勝者の選び方はそれぞれ、6C1=6、6C2=15、6C4=15、6C5=6 [通り]ですね。
そのおのおのについてグーで勝つか、チョキで勝つか、パーで勝つかの3通りがあるので、勝負が決まる確率は(4)の確率も含めて、
(6+15+20+15+6)×3/729=62/243・・・(答)となります。
じゃんけんであいこになる確率の公式
最後に、じゃんけんであいこになる確率の公式をご紹介します。知っておくとかなり便利な公式なので、ぜひ覚えておきましょう。
n人でじゃんけんを1回して、あいこになる確率=1- (2n-2 / 3n-1)
上記で4人でじゃんけんを1回するとき、あいこになる確率=13/27を求めました。
これを上記のあいこの公式で解いてみると、n=4なので、1-(24-2/34-1)=1-14/27となり、確かに13/27になっていることが確認できます。
なぜ以上の公式が成り立つのかについての証明を簡単にしておきます。
【証明】
あいこになる確率=1-(あいこにならない確率)で求められますね。
n人でじゃんけんを1回するとき、手の出し方の総数=3n[通り]ですね。
あいこにならない場合は、全員の出した手がちょうど2種類であるときですね。
グー・チョキ・パーのうち、どの2種類かで3通り、そのおのおのに対して考えられる場合の数は2n-2[通り]ですね。
※例えば「全員がグーまたはチョキ」という場合の数は2n通りですが、この場合、「全員がグー」または「全員がチョキ」という2通りを除外しなければなりません。
よって、求める確率=1-3(2n-2)/3n=1- (2n-2 / 3n-1)となります。
今回はじゃんけんに関する確率の問題をたくさんご紹介しました。
特にじゃんけんであいこになる確率の求め方は混乱してしまう可能性もあるので、ぜひ最後にご紹介したあいこの公式を覚えることをおすすめします。